金結晶だけではない、小砂焼の多彩な表情。

小砂焼の代名詞として語られる「金結晶(きんけっしょう)」。

しかし、小砂の土と釉薬が作る世界は、それだけではありません。長い年月をかけて、職人がこの地で土と火、そして釉薬と向き合ってきた結果、実に様々な色が出来上がりました。

土の状態、火の加減、そして、その時々の温湿度によって、ひとつとして同じものはない、一期一会の発色。
金結晶だけではない、小砂の土と釉薬が織りなす様々な色の表情に触れてみてください。


金結晶釉 — 結晶が織りなす唯一無二の光沢

マンガンや鉄などの鉱物を独自に調合した、小砂焼を代表する釉薬の一つです。焼成後の冷却過程で現れる黄金色の結晶が、落ち着いた光沢を器に与えます。その輝きは決して派手ではなく、落ち着いた渋みを持っているのが特徴です。
光の角度によって万華鏡のように表情を変える繊細な美しさは、おもてなしの席にはもちろん、日常の空間にも格式高い彩りを添えてくれます。

鉄赤(てつあか)— 情熱を宿す深い紅

鉄分をほとんど含まない小砂特有の陶土に、酸化鉄などを調合した釉薬を重ねて焼き上げた色合いです。
単なる「赤」ではなく、窯の中の炎の力によって、熟した果実や夕焼けのような深みと落ち着きのある発色が引き出されます。
食卓に一点あるだけで、空間を華やかに、かつ温かく引き締めてくれます。

青マット — 静寂をまとう現代の青

光沢をあえて抑えた、しっとりと手に馴染む質感の釉薬です。まるで霧がかった森や、穏やかな湖面を思わせるような、優しくモダンな青色が魅力。
和食だけでなく、洋食や北欧風のインテリアとも相性が良く、現代のライフスタイルに寄り添う「今の小砂焼」を象徴する色です。

飴釉(あめゆう) — 伝統が息づく琥珀の輝き

べっこう飴のような、透明感のある茶褐色です。古くから日本の民芸品で愛されてきた色ですが、小砂の土と合わさることで、より重厚で艶やかな質感に仕上がります。
使い込むほどに愛着がわく、どこか懐かしく、そして飽きのこない小砂焼の原風景のような色合いです。

乳白(にゅうはく) — 里山の優しさを映す白

糠釉(ぬかゆう)とも言います。米ぬかの灰を原料とした、伝統的な釉薬です。真っ白ではなく、どこか温かみのある「乳白色」が特徴で、釉薬のたまりや流れが独特の景色を作ります。手作りならではの柔らかな表情があり、盛り付ける料理の色を最も美しく引き立てる「包容力のある色」と言えます。

黒釉(くろゆう) — 黄金を引き立てる漆黒の美

金結晶のベースにもなる黒は、小砂焼の「力強さ」を象徴する色です。吸い込まれるような深い黒は、上に載せる食材の輪郭をくっきりと浮き上がらせます。金結晶と組み合わせた際の豪華さはもちろん、単色でも圧倒的な存在感と気品を放ちます。

ピンク — 和を引き込む新作桜色

「伝統も大切にしつつ、陶芸に触れる入り口を広げていきたい」という思いから制作した小砂焼に今までなかった全く新しい色。伝統をしっかりと感じさせる八重桜のような温かみのある色合いが特徴。

もともとあった釉薬(ゆうやく)にピンクの染料を入れることで、ピンク染めができるようになった。一方、色の濃さやほかの色との配色など、まだまだ試行錯誤中。